2018年1月4日

1号機の佇まい

Leica III & Leica X1

何故か手元にあるのは、ある意味で1号機となるカメラが多い。
1号機はメーカーの開発コンセプトもハッキリしているが、ユーザーの意見を取り入れて世代を重ねると初期のコンセプトが薄れ、
同じようなカメラになってくる。
フィルムカメラにしても、デジタルカメラにしても初期には試行錯誤もあって、デザインや操作性も特徴的なものが多かった。


Nikon F Photomic FTN 

Nikon Fはニコンの一眼レフの1号機である。
レンジファインダー機のNikon SPをベースにしているので巻き上げ部、シャッターボタン、
シャッターダイヤルや巻き戻し部はNikon SPとほぼ同じである。
SPがバルナックライカのシャッターシステムを真似ていたので、Fもシャッターボタンが後ろ寄りに付いている。
Nikon Fは、FTNファインダーを取り付けた時の二階建てと言われた、無骨な佇まいが特徴的だ。
その後、Nikon FはNew F、F2、F3と世代を重ねF6まで続くが、Fの面影は薄くなっていく。


Canon F1

Canon F1は一眼レフとしては1号機ではないが、
ニコンに遅れを取っていたキヤノンがシステム一眼レフとして登場させた1号機である。
ボディに露出計を組み込んでいるため、ファインダーに露出計を組み込んだNikon F Photomic FTNよりスッキリしている。
このF1はF2、F3となる事はなく、F1改、NewF1へと続くが、この初期型のF1が一番F1らしい。


Leica III

Leica IIIは1号機ではない。
初めて市場に出たA型が1号機だろう。
けれど、連動距離計とスローシャッターが装備されたIII型がバルナックスタイルの1号機だと思う。
初めてストラップ金具も付いて、後のフィルムカメラの原型になった、最後の全板金バルナックライカでもある。


Leica CL

Leica CLはライツの設計でミノルタが製造した初の日本製ライカ、TTL露出測光式のマニュアルカメラである。
傾斜型の簡易連動用カムを採用した40mm F2と90mm F4のレンズが用意され、
前面にあるシャッターダイヤルや引き抜き式の裏蓋、縦吊りのストラップ金具などデザインが特徴的だ。
後継機として開発されたCLEは、ミノルタのみの発売でLeica CLEとはならなかった。
CLEは絞り優先の自動露出でデザインもハイマチック風で特徴がなく、やはり1号機のCLのデザインが美しいと思う。


Fuji X-E1

Fiji X-E1はX-E系の1号機である。
この頃のFujiFilmはライカのM型を意識していたようで、開発者にもライカファンがいたそうだ。
確かに、背面モニターの左側に配置されたボタンはライカスタイルであるが、
これがFujiユーザーには不評らしく、X-E3では廃止されてしまった。
また、クラシック感のあったFUJINON LENS SYSTEMマークも無くなって、
初期のコンセプトが薄れてきているようだ。


Leica X1

Leica X1はバルナック型コンデジの1号機である。
バルナック型ミラーレスの1号機はLeica CLなのだろう。
このX1の特徴は色表現とハイコントラストなモノクロだが、ハイコントラストと言ってもカリカリの描写ではない。
カラーは彩度も低く地味な絵作りで、国産機の色に慣れていると物足りなく感じるが、
この色が気にいったら、かけがえのない1台になるだろう。
オートフォーカスは遅いし操作性は良いとは言えないが、マニュアルフォーカスのフィルムカメラと考えれば、
シャッターダイヤルや絞りダイヤルもあるので不便はないと思う。
何よりも、この丸みを帯びた横長のボディが持ちやすい。


Olympus Pen E-P5

Olympus Pen E-P5は1号機ではない。
1号機はE-P1で、やっぱりフィルムカメラのPen Fを感じられるのはシンプルな軍艦部のE-P1だろう。
けれど、このE-P5もダイヤルなどが埋め込まれてフラットになっている軍艦部なので、PENの佇まいを感じられる。
E-P5は、これといって特徴はないが、パナライカレンズが使えるのがメリットで、
まき餌レンズと言われた小ズミは柔らかい良い描写をしてくれる。
この記事の写真もそうだが、最近の機材の写真はE-P5と小ズミで撮っている。


Fuji X-E1 & Leica CL

1号機はデザイン、操作性、画像処理などに特徴的なことが多いが、
この特徴が薄れてしまった新型には移りにくく、1号機は手放せないでいる。

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